前回、セミナーを行った結果、想定していた通りにならなかった要因として、「アンケートの質問事項」と、「セミナー構成」を挙げました。

今回は「セミナー構成」をどのように見直したかについてお話します。

 

うまくいかない原因は、講師が「何を伝えるか」にフォーカスし過ぎたから

セミナー(初心者向け、特定業界向け、成功事例等)を開催する以上、それぞれのタイトルに合わせてセミナーを組み上げていく訳ですが、最初の頃は講師を務めるコンサルタントの喋りやすさを尊重した構成にしていました。

講師を務めたコンサルタントは、本当に真面目な連中ばかりでして、2時間セミナーに対してそれは全部喋れないでしょうよ、というくらいの内容を詰め込んで、伝えたいことを参加者の方に持ち帰って頂こうと考えております。
(それはもう、クソ真面目な感じです)

それは多分、有料のセミナーで自分が登壇する不安の裏返しだったのかもしれません。
だからこそ、色々詰め込んでしまったと思います。

初めから企画する私の都合を講師に伝えてしまうと、セミナー資料の作りが混乱することは目に見えていたので、講師のやりやすい質に特化したセミナー構成を目指してもらいました。

結果としてこの選択が、「参加者の方に何を持って帰って頂くか」にフォーカスせずに、「講師が何を伝えられるか」にフォーカスしてしまったことにつながりました。

講師のやりやすい形でセミナー構成を考える

何を伝えるか
どうやって伝えるか
最後に何を持って帰ってもらうか
もしかしたら、自分が持っている知見を伝えるという思いが強いと、こういう構成になるのかもしれません。

ここで断っておきますと、私は必ずしもこの構成が悪いとは思っていません。
むしろ普通のセミナーであれば全く問題ない流れだと思っています。

開催していた当初、私自身うまく行っている!と思っていたくらいです。

でも、このセミナー構成は想定したゴールに繋がらなかったのは事実です。

何を伝えたいかだけではなく、何に気づいてほしいか

講師のやりやすい形でセミナーを作った結果、
参加された方々の約8割の方に満足頂けるセミナーが出来上がりました。

???

何が悪いの?
と思われた方が大半だと思います。

ここで、ウチが有料セミナーを開催する目的をもう一度振り返ります。

有料セミナーを少人数で開催することのゴールは、単にお客様に参加して頂くことだけではありません。

参加して頂いた方に、気づきを与えられることを伝え、その気づきから新たに湧いた課題や疑問について、セミナー終了後に個別に相談を頂くことがゴールでした。無料相談にお申込み頂くということです。

個別に相談したいと思って頂くということは、

セミナーで○○ということがわかったけど、実際自社に置き換えたときにどうしたらいいのかが纏まらないので、無料相談で個別に伺ってみたいな。

と思って頂いたり、

セミナーで言ってたことはわかるが、自社で一人で実施していくことは正直なところ難しいから、コンサルの依頼を検討する前提(費用次第だが)で無料相談でもっと話を聞きたい。

ということが考えられるのではないかと思います。

でも、講師が当初考えたセミナー構成だと、

何を伝えるか
どうやって伝えるか
最後に何を持って帰ってもらうか
こういう構成で、伝えたいことがちゃんと伝わったので、参加者の方は満足されて帰っていきました。

これだと、セミナー開催の目的は半分しか達成できていません。

これは、何が原因だったのか?

私は、この2つの気づきを得て頂かなくては、無料相談したいとまで思わないのではないかと考えました。

参加者の方が抱えている課題に対する気づき
まだ気づいていなかった課題への気づき

表の気づきと裏の気づき

私がセミナーの参加を検討する場合、こんな感じで考えています。

セミナーのタイトルと概要に興味を持つ
有料なのか無料なのか、有料ならいくらなのか
開催場所、開催日時はどこなのか
以上を確認して、全てが大丈夫だと思ったときに参加しようと思います。
(どなたが話すセミナーなのか、どこの企業が主催なのか、もありますね)

セミナータイトルに興味を惹かれたということは、自分が既に抱えている課題を解決できるヒントが得られるかも?と思ったからだと思います。

この課題を解説するヒントを与えることを「表の気づき」とここでは表現します。(私がそう思っているだけです^^;)

講師を務めるコンサルタントは、ここをセミナー内で全力で答えようと頑張ったのですが、実際にはこれだけだと足りませんでした。(主催側としてです)

ここで「もう1つの気づき」が出てきます。これを「裏の気づき」と表現しています。

課題を抱えてセミナーに参加された方に対し、潜在的に抱えている課題に気づかせる取り組みの事を指しています。

セミナーでお話したことが、参加者の方の業種によっては満足頂ける答えにならない可能性が十分あります。

良くない(と思っている)ケースは、講師が一方的に話をして、スライドに書かれている内容以外の話をしない(できない)場合。

これだと、少人数で開催した意味がありません。
参加者の方に対し、セミナーの内容を自社に置き換えた場合にどうするか?、この話を元に応用した理解を求めるのは、講師側の怠慢だと思います。(私が思っているということです)

こういうことが起こらないように私が考えるのは、
参加者の方に対し、自社に合わせた解決策の導き方を+αで伝えることと、
そもそも抱えている課題は、そこではなく別のところにあるんじゃないですか?
と、参加者本人が気づいていかなかった課題への気づき「裏の気づき」ができるようにしていきます。(そうしようと努めます)

なんか難しい話のように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。

例を1つ挙げると、講師に対しスライドに書かれているものをただ話すのではなく、
今話していることに関係した話をセミナー内で話すことを意識するようにしています。

これによって、一例に対してだけの考え方や対処の仕方だけでなく、別なケースの場合はあーした、こうしたと話すことになるので、聞き手の頭の中には幾つかのケースが頭に浮かんでいくようになります。

こうすることで、

ひとつの解決策や考え方を伝えた場合だと、
「この人はこうだと言ってるけど、自社の場合は当てはまらないな~」
「ま、内容自体は良かったからこのまま帰るか~」

となるところを、

いくつかの解決策や考え方を(意識して)伝えた場合、
「複数パターンを元に、自社の場合だとこういう風に考えたらいいのかな~?」
と、思考が広がるはずです。
(少なくとも私がそうだったので、このやり方を採用しました)

その思考が間違っていないかの確証を得るために、セミナー内で質問をしたり、さらに理解を深めるために「無料相談」に申し込んでみようと思って頂けるはずです。
(確証は持てませんが、参加者の方が行動する確度が上がるはずという話です)

セミナー構成を「裏の気づき」を与える形に変えていく

この「裏の気づき」を与えるセミナーを作るために、今のセミナー構成をどのように変えていったらいいかを講師と一緒に考えました。

変更前

  • 何を伝えるか
  • どうやって伝えるか
  • 最後に何を持って帰ってもらうか

変更後

  • 何を伝えるか
  • どうやって伝えるか(表の気づき)
  • 別の切り口で+αを伝える(裏の気づき)
  • 最後に何を持って帰ってもらうか

「裏の気づき」を得て頂けるように構成を変えたことで、セミナー内での質問が増え、その後の無料相談にも申し込んで頂けるようになりました。

しかしこのやり方が、ベストだとは思っていません。

そして、ウチの講師を務めるコンサル全員がいきなりこれを実践できるとも思っていません。(が、結果としてできるようになってもらってますが)

裏の気づきを得るように話すということは、講師自身が参加者の方により理解して頂こうという奉仕の精神が無いと正直なところできません。

なぜならセミナー講師初心者は、人前で自分が作ったセミナーを話すことで精一杯だからです。

でも、そこに甘えて欲しくないので講師には、
質の部分でしっかり参加者の方に満足頂ける内容を届ける(表の気づきに答える)ことから取り組んでもらい、
並行して少しずつでいいので(裏の気づき)に繋がるヒントを与えられるようになってもらっています。
(その為、今でもセミナーの場数を踏んでいない講師に対しては、私がヘルプを入れられるように一緒に参加しています。)

セミナーの取り組み方についてのお話は以上になります。
(これはあくまで、弊社が有料セミナーを開始した初期の頃のお話です。)

まとめ

・自社開催セミナーは講師と運営企画と一緒に作らないとブレる
・参加者に何を伝えたいかだけではなく、何に気づいてほしいかを意識する
・表の気づきは、セミナータイトルから参加者が期待するヒントに繋がること
・裏の気づきは、講師からの+αの話を通して気づかなかった課題に気づけること

ちなみに私は何かを考える際に、表と裏を考えるのが好きです。

1つの取組みに対して、表向きはこういうことだけど裏には別の意図もあって、そこを考えることも、他社の取り組みでそういう裏が見えてくると嬉しくて嬉しくて仕方ありません。^^

ここまで読んで頂きありがとうございました。
それではまたの機会にm(_ _)m